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掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏(掌蹠)に膿を伴った小さな膨らみ(膿疱)が現れる皮膚疾患です。この膿疱は、初めは小さく透明な水疱として現れ、その後、膿が溜まることが特徴です。膿疱が破れると、乾燥やかさぶたができ、再発を繰り返すことがあります。掌蹠膿疱症は、皮膚に限らず、関節炎や喉の炎症、内臓に影響を与えることもあるため、適切な診断と治療が必要です。
この疾患は、一般的に慢性的で再発性があり、症状が進行すると、生活の質に影響を及ぼすことがあります。
原因
掌蹠膿疱症の正確な原因は明確ではありませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
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免疫系の異常:掌蹠膿疱症は、免疫系の異常による自己免疫疾患と考えられています。免疫系が正常な皮膚細胞を攻撃することで、炎症や膿疱が発生します。
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喫煙:喫煙は掌蹠膿疱症の発症や悪化に関与していることが示唆されています。喫煙者では、症状が重症化しやすい傾向があります。
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感染症:細菌や真菌による感染が、掌蹠膿疱症の発症に関与することがあります。歯周炎や扁桃炎などが関連していると示唆されており、そちらを治療することで掌蹠膿疱症の症状がよくなることがあります。
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ストレスや生活習慣:ストレスや不規則な生活習慣も、症状の発症や悪化に影響を与えることがあります。
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遺伝的要因:掌蹠膿疱症は、家族歴がある場合に発症することが多いとされており、遺伝的な要因も関連している可能性があります。
治療
外用治療
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ステロイド外用薬:掌蹠膿疱症の炎症を抑えるために、ステロイド外用薬が使われることがあります。特に症状が軽度の場合、外用薬によって効果的に改善されることがあります。
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ビタミンD3外用薬:ビタミンD3製剤は、皮膚の細胞のターンオーバーを正常化し、症状を改善することがあります。ステロイドとの併用が効果的です。
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タール製剤:皮膚のかさつきやフケの発生を抑えるために、タールを含む治療薬が使われることもあります。
内服治療
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免疫抑制薬:掌蹠膿疱症が進行している場合や、外用薬では効果が得られない場合には、免疫抑制薬が使用されることがあります。これにより、免疫系の異常な反応を抑え、症状の改善が期待できます。
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抗菌薬:感染症が関与している場合、抗菌薬が処方されることがあります。これにより、二次的な感染を予防し、症状を抑えることができます。
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レチノイド(ビタミンA誘導体):重症例や再発が頻繁に起きる場合には、ビタミンA誘導体(レチノイド)が使用されることがあります。これにより、皮膚のターンオーバーを調整し、症状を改善することができます。
- PDE4阻害薬:元々乾癬に適応が通っていた「オテズラ」という薬ですが、好中球の浸潤に関与する炎症性サイトカインやケモカインを抑制することにより掌蹠膿疱症の症状も改善します。
光線療法
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紫外線療法:中等度から重度の掌蹠膿疱症では、紫外線療法(PUVA療法やUVB療法)が使用されることがあります。紫外線をあてることで免疫細胞の働きを抑制し、皮疹を改善していきます。
注射
- 生物学的製剤:掌蹠膿疱症にかかわる炎症物質を抑える治療です。点滴と皮下注射があり、主に重症の患者様を対象に行います。また、定期的に採血などの検査が必要になるため、市中病院へ紹介の上、行っていきます。
予防と日常ケア
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喫煙の中止:喫煙が症状を悪化させるため、禁煙をすることが最も重要な予防策となります。
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ストレス管理:ストレスが症状を引き起こしたり悪化させたりするため、リラクゼーション法やストレス管理が効果的です。
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皮膚の保湿:乾燥が症状を悪化させることがあるため、適切な保湿ケアを行うことが重要です。特に、シャワー後に保湿剤を使って皮膚を保護しましょう。
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感染予防:傷を避けるために、皮膚に外的刺激を与えないように心掛け、感染症の予防に努めることが大切です。
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規則正しい生活:規則正しい生活を送り、栄養バランスの取れた食事を心掛けることが、免疫系の健康を維持し、症状の予防に繋がります。
医療機関を受診すべきケース
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症状が進行し、日常生活に支障をきたす場合
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外用薬や内服薬で改善が見られない場合
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皮膚にひどい炎症や膿が広がる場合
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発熱や全身の症状が伴う場合
予後
掌蹠膿疱症は慢性疾患であり、治療には長期的な管理が必要です。適切な治療を行うことで、症状をコントロールすることが可能ですが、再発することが多いため、症状が改善しても定期的なフォローアップが大切です。特に喫煙の影響が大きいため、禁煙が治療の鍵となります。