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◆赤ら顔◆
赤ら顔になる原因はいくつか考えられます。
一番頻度が高いのは酒さと呼ばれる状態ですが、他にもステロイドの塗りすぎなどにより起きる酒さ様皮膚炎や、更年期(ホットフラッシュ)で赤みが出ていることもありますし、頻度は高くはありませんが、チョウチョのような形の赤みが顔面にでている場合や眼の周りなどに部分的に赤みが出ている場合などは膠原病と呼ばれる自己免疫疾患で赤みが出ている場合もあります。
様々な原因が考えられるため、まずは保険治療や検査のできるクリニックで診察を受けることが大切です。
ここのページでは、頻度の高い酒さ(しゅさ)という病態についてお話します。
酒さは顔全体の赤みと血管拡張が数ヶ月以上持続する慢性炎症性疾患で、中高年の顔面、特に鼻に好発します。
ニキビのようなボツボツができることもあります。
しかし、ニキビとは異なり、毛穴のつまりは起こしていないのが特徴です。
皮膚の赤みとともにほてりやヒリヒリ感がみられることもあります。
酒さは症状により、4種類に分類されます。
- 第1度酒さ(紅斑毛細血管拡張型)
鼻の頭や頬、眉間、顎などに一時的な赤みが出現します。
次第に持続性となり、毛細血管拡張や脂っぽさを伴うようになります。
かゆみやほてり、ヒリヒリ感などがでます。
- 第2度酒さ(丘疹膿疱型)
症状が進行すると、ニキビに似た毛穴に一致したブツブツが出てきます。
膿の入ったようなブツブツも出てくることがあり、脂っぽさもまします。
顔全体が赤くなります。
- 第3度酒さ(瘤腫型)
ブツブツが密集することで瘤のように盛り上がりができます。
特に鼻が凸凹して不整に隆起して暗紫色となり、毛穴が改題してミカンの皮のような見た目になることを鼻瘤(びりゅう)と呼びます。
- 眼合併症(眼型)
眼の周りの腫れや眼瞼炎、角膜炎が起こります。
目の充血や異物感、かゆみ、まぶしさなどを感じることがあります。
酒さはこのように症状が進行していったり、これらの病型が複数混在したりすることがあるため、早めの治療がお勧めです。
酒さの悪化要因
酒さの原因ははっきりとはわかっておりませんが、悪化させる増悪因子についてはいくつか指摘されています。
紫外線や高気温・低気温などの外部環境、精神的ストレスなど、また長風呂や飲酒、辛いものの摂取などの血流が良くなるような行動で発症・悪化する可能性があるといわれています。
そのため、赤ら顔が気になっている方は日焼け止めを使用したり血流が良くなる行動を避けたりと、日常生活で気をつけると良いでしょう。
酒さの治療方法
酒さの治療は、まずは先述した悪化要因の除去が必要です。
ご自身で酒さが悪化する原因を考え、その因子を避けることが大切です。
その上で適切なスキンケアを行い、クリニックでの治療を受けることで改善が期待できます。
スキンケアについて
摩擦などの刺激で毛細血管の拡張がおきたり、洗顔料の刺激で赤みが出たりすることがあるため、洗顔時に刺激を与えないことが大切です。
クレンジングは摩擦を避けるため、拭き取りではなく洗い流し用のジェルやクリーム、ホイップタイプなどを使いましょう。
摩擦になってしまうので顔をできるだけ直接触らないように、たっぷりの量を短時間でメイクになじませて乳化させて除去します。
すすぎは十分な量のぬるま湯を使用しましょう。熱すぎるお湯で洗うと顔が乾燥し赤みが増してしまいます。
低刺激の洗顔料や化粧水、美容液などを使い保湿もしっかり行います。
また、日焼け止めを使って遮光をしっかりしましょう。洗顔時にこすらなくてすむよう、石けんで落とせるようなものを使うのもお勧めです。
メイクは、赤みを目立たなくする色合いのものを使うと良いでしょう。低刺激性のものを選びましょう。
赤ら顔にお勧めのスキンケア成分
セラミド:角質のバリア機能を担っている保湿成分です。赤みが出ている皮膚は角層のバリア機能が低下している可能性が高いため、積極的に補給したい成分です。セラミドの中でもヒト型セラミドは他のセラミドと比べて肌なじみがよく、保湿力も高いというメリットがあります。
トラネキサム酸:炎症を誘導するプラスミンという因子の働きを抑制する成分です。過剰な血流を穏やかにする効果もあるため、血管拡張による赤ら顔にも有効です。また、肝斑にも有効です。
ナイアシンアミド:美白効果やシワ改善の効果があります。更にセラミドを増やす働きもあります。炎症を起こりにくい肌を目指すことができます。
アゼライン酸:小麦やライ麦などの穀類や酵母に含まれている飽和ジカルボン酸という成分で、元々美白作用があることで注目されていましたが、最近は赤ら顔やニキビに対する治療効果が期待されています。
アゼライン酸には、皮脂の分泌を抑える作用や角化異常を抑制する作用、抗炎症作用、抗菌作用などがあります。メラニンの生成を抑える効果もあるため、美白効果もあります。
使い始めに赤みやかゆみなどが起こる方もいますが、使い続けていくことで落ち着いていくことがほとんどです。妊娠中の方にも安心して使える成分です。
こちらの記事もご参照ください。
酒さの外用療法(塗り薬)
生活改善やスキンケアでも改善しない場合、塗り薬での治療がお勧めです。
保険適応
ロゼックスゲル
ロゼックスゲルはメトロニダゾールという抗原虫薬(抗菌薬)を有効成分とするゲルです。
メトロニダゾールは酒さの原因の一つとされる毛包虫やニキビ菌の増殖を抑え、抗菌する作用があります。
また、酒さ病変部での活性酸素増加を抑制して、抗炎症作用により症状を改善します。
元々違う病気に適応があったお薬ですが、数年前より酒さに適応が通りました。
刺激感がほとんどなく、使いやすい薬です。
1日2回洗顔後にご使用いただくと、徐々に赤みが改善していきます。
刺激感を感じる方もみえるので、最初は小範囲から使うこともお勧めです。
また、ロゼックスゲルでも改善がない場合、自費のお薬もあります。
イベルメクチンクリーム
アメリカではFDAの承認も下りているお薬ですが、日本ではまだ保険適応がありません。
イベルメクチンは元々駆虫剤として使われていた薬ですが、酒さの原因の一つと考えられている「ニキビダニ」を死滅させる作用があることがわかり、酒さ治療に応用されるようになりました。
また、イベルメクチンクリームには炎症を引き起こす原因物質「サイトカイン」の生成を抑制する効果もあります。
内服療法
酒さの場合、ミノマイシンやフラジールといった抗菌薬が効を奏する場合があります。
しかし、それらのお薬は保険適応がないため、症状に応じて相談して使用していく形となります。
レーザー療法(自費)
酒さや毛細血管拡張で赤みが出ている場合、レーザー治療で改善を見込める場合があります。
ヘモグロビンに反応するレーザーなどを使うことで、赤みを少しずつ改善していくことができます。
当院ではクラリティⅡを使ったクラリティフェイシャルをお勧めしております。
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赤ら顔の治療はスキンケアや遮光など、日々できることから始まり、クリニックでの治療もあわせることで効果が期待できます。
赤ら顔でお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。